交通事故慰謝料は通院日数で変わる? 正しい賠償金額を知る計算方法

2024年11月28日
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交通事故慰謝料は通院日数で変わる? 正しい賠償金額を知る計算方法

山口市が公表している「令和5年交通白書」によると、令和5年に山口市内で発生した人身交通事故件数は300件、交通事故による負傷者数は344人でした。いずれも前年より増加しており、誰でも事故に巻き込まれる可能性があるといえます。

交通事故により怪我をした場合、交通事故慰謝料を請求することができます。交通事故慰謝料の金額は、通院日数に基づき計算することになるため、怪我の程度に応じた適切な頻度で通院を継続することが重要です。また、交通事故慰謝料の計算には3つの算定基準があり、適正な賠償金の支払いを受けるためにも、3つの基準をしっかりと理解しておきましょう。

今回は、通院日数で変わる交通事故慰謝料の計算方法や3つの算定基準について、ベリーベスト法律事務所 山口オフィスの弁護士が解説します。


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1、交通事故の慰謝料額は通院日数により変わる

交通事故慰謝料とは、被害者が被った精神的苦痛に対して支払われる賠償金をいいます。

交通事故によりどの程度の精神的苦痛を被ったのかは、被害者の主観に左右されるため、客観的に判断するのは困難です。そこで、交通事故による慰謝料を客観的に把握して計算するために、原則として、通院日数や通院期間を基準に算定することになっています。
つまり、交通事故では、通院日数や通院期間によって交通事故慰謝料の金額が変わることになります。

なお、交通事故でいう通院日数や通院期間とは、以下のように定義されています。

  • 通院日数:交通事故被害者が実際に病院に通院をした日数
  • 通院期間:交通事故被害者が通院を開始したときから完治または症状固定と診断されるまでの期間

2、弁護士が請求すると慰謝料はもっとも高額になる

交通事故の被害に遭った場合、どのような賠償金を支払ってもらうことができるのでしょうか。交通事故の賠償金の内訳と交通事故慰謝料の3つの算定基準について説明します。

  1. (1)交通事故の賠償金に含まれるもの

    交通事故の賠償金に含まれる主な項目は、積極損害、消極損害、精神的損害です。

    ① 積極損害|事故により支払いを余儀なくされた費用
    積極損害とは、事故がなければ出費しなかった費用をいいます。積極損害にあたるものとしは、次のような損害が挙げられます。

    • 治療費
    • 通院交通費
    • 入院雑費
    • 付添看護費


    ② 消極損害|事故がなければ将来得られたはずの利益
    消極損害とは、交通事故がなければ本来得られたはずの利益をいいます。消極損害にあたるものとしては、次のような損害が挙げられます。

    • 休業損害
    • 後遺障害逸失利益
    • 死亡逸失利益


    ③ 精神的損害|慰謝料
    精神的損害とは、被害者が被った精神的苦痛に対して支払われる賠償金です。交通事故による慰謝料としては、次の3つが挙げられます。

    • 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
    • 後遺障害慰謝料
    • 死亡慰謝料


    これら精神的損害のうち、通院日数により金額が変動するのは入通院慰謝料です。入通院慰謝料は、交通事故で怪我をしたことによる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料で、通院日数や通院期間を基準に計算されます。

  2. (2)交通事故慰謝料の3つの算定基準

    交通事故慰謝料の算定基準には3つの基準があり、どの基準を用いて計算するかによって金額が大きく変わります

    • 自賠責保険基準:自賠責保険から慰謝料が支払われるときの算定基準
    • 任意保険基準:任意保険会社から慰謝料が支払われるときの算定基準
    • 裁判所基準(弁護士基準):裁判や弁護士による示談交渉での算定基準


    自賠責保険基準は、交通事故被害者に対する最低限の補償を目的とした保険であるため、3つの基準のなかでもっとも慰謝料の金額は低くなります。

    一方で、裁判所基準は、裁判になった場合や弁護士が保険会社と示談交渉で用いる基準です。
    過去の裁判例の集積などに基づいて基準化されたものであるため、3つの基準のなかではもっとも慰謝料の金額が高くなります

    被害者にとって有利な基準は裁判所基準ですが、裁判所基準を用いて示談交渉をするためには、弁護士への依頼が必須です。つまり、弁護士に依頼して示談交渉をすることで、保険会社の提示額よりも交通事故慰謝料を増額できる可能性があるということです。

    少しでも慰謝料の金額を増やしたいという場合には、弁護士に依頼するのがおすすめです。

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3、通院日数と慰謝料額の計算方法

交通事故慰謝料は、通院日数によって金額が変わります。自賠責基準と、裁判所基準それぞれにおいて、通院日数に応じた交通事故慰謝料の計算方法を紹介します。

  1. (1)自賠責保険基準による慰謝料額の計算方法

    自賠責保険基準において入通院慰謝料を計算する方法です。

    慰謝料=日額4300円×対象日数


    「対象日数」とは、以下の2つのうち、いずれか少ない方が対象となります。

    • 総治療期間
    • 実通院日数×2


    たとえば、総治療期間が6か月間(180日)で、実通院日数が60日だった場合、「180日>60日×2」となり、「60日×2=120日」が対象日数となります。
    すなわち、このケースでの慰謝料額は、「4300円×120日=51万6000円」となります。

  2. (2)裁判所基準による慰謝料額の計算方法

    裁判所基準では、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)」(いわゆる赤い本)の基準にしたがって慰謝料の計算を行います。
    赤い本では、怪我の内容によって「別表Ⅰ」と「別表Ⅱ」という2つの基準があり、慰謝料の金額が基準化されています。

    「裁判所基準(いわゆる赤い本)別表Ⅰ:原則」(単位:万円 )

    裁判所基準 裁判所基準

    「裁判所基準(いわゆる赤い本)別表Ⅱ:むち打ち症等で他覚所見がない場合」(単位:万円)

    裁判所基準 裁判所基準

    たとえば、自賠責保険基準と同様に治療期間が6か月間(180日)、実通院日数が60日だった場合を例にすると、入院期間は0か月で判断するため、裁判所基準における入通院慰謝料の金額は、以下のようになります。

    • 別表Ⅰ:116万円
    • 別表Ⅱ:89万円


    自賠責保険基準での入通院慰謝料「51万6000円」と比べると大きな差があることがわかります。

    このように交通事故慰謝料の金額は、どの算定基準を用いるかによって金額が大きく変わるため、適切な算定基準を用いて示談交渉を行うことが重要です

4、交通事故対応を弁護士に依頼する3つのメリット

交通事故の被害にあった場合は治療に専念でき、慰謝料を増額できる可能性もあるため、弁護士に依頼するのがおすすめです。

  1. (1)交渉などの対応を任せられるので治療に専念できる

    交通事故の被害に遭った被害者は、加害者側の保険会社の担当者と、交渉をしなければなりません。

    交渉の一例
    • 交通事故直後に病院に通院する旨の連絡
    • 通院する病院を変更するための連絡
    • 休業損害の内払いのための連絡
    • 治療経過の確認のための連絡
    • 過失割合を決定するための交渉
    • 交通事故の賠償金を決めるための示談交渉


    保険会社の担当者は業務として対応するので、当然に知識量も多く、交渉にも慣れています。一方で交通事故の被害者は、仕事や家事・育児など日常生活をこなしながら対応しなければなりません。普段の生活に加えて交通事故の怪我の治療を行い、さらに保険会社に対応するのは大きな負担です。

    弁護士に依頼をすれば、保険会社の担当者とのやりとりはすべて任せることができるため、負担を大幅に軽減できます。それにより、被害者自身は、治療に専念することができるでしょう。

    また、専門家である弁護士が交渉を担当するため、保険会社の担当者と不利な条件で示談してしまうリスクも避けることができます

  2. (2)受け取れる金額が増額する可能性が高い

    前述したとおり、交通事故慰謝料の算定基準のうち、被害者にとって有利な基準は裁判所基準ですが、裁判所基準を用いて示談交渉ができるのは弁護士に依頼した場合に限られます。

    保険会社から提示される慰謝料額は、裁判所基準の慰謝料額を大きく下回る金額であることがほとんどのため、弁護士が介入することによって、慰謝料額を増額できる可能性が高くなります

    少しでも多くの慰謝料を受け取りたいという場合には、弁護士への依頼が不可欠といえます。

  3. (3)内容に争いがあるときは訴訟を視野に入れた対応ができる

    交通事故の示談交渉では、被害者側の主張と保険会社(加害者)側の主張が対立して、争いが生じることがあります。このような場合には示談交渉を続けても解決は難しいため、最終的に訴訟による解決を図ることになります。

    示談交渉とは異なり、訴訟手続きは非常に専門的かつ複雑な手続きになるため、知識や経験の乏しい被害者だけで対応するのは困難といえます。弁護士であれば、訴訟を視野に入れた対応ができるため、保険会社との対応は弁護士に任せるのが安心といえるでしょう。

5、まとめ

交通事故慰謝料は、通院日数や通院期間によって計算を行うため、医師の指示にしたがって適切な頻度で通院を続けることが重要です。
また、示談交渉の場面では、保険会社の提示する慰謝料額は裁判所基準を大きく下回る金額の可能性が高いため、すぐに示談に応じるのではなく、まずは弁護士に相談するようにしましょう。

交通事故の慰謝料に関してお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 山口オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています