交通事故後いつまでに病院へ行く? いつまで通院可能? 目安と注意点
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山口県が公表している交通事故の統計資料によると、令和6年に山口県内で発生した人身事故の件数は2152件で、前年よりも117件の減少となっています。しかし、死者数と重傷者数はいずれも増加しています。
交通事故で怪我をしたときは、病院での治療が必要になりますが、その際に気になるのが病院を受診するタイミングや通院期間です。
今回は、交通事故後いつまでに病院に行くべきか、いつまで通院が可能なのかについての目安と注意点をベリーベスト法律事務所 山口オフィスの弁護士が解説します。


1、交通事故後に病院へ行くタイミング
交通事故により怪我をした場合、どのタイミングで病院に行けばよいのでしょうか。以下では、交通事故後に病院へ行くタイミングと受診が遅くなることで生じるデメリットを説明します。
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(1)できるかぎり交通事故の当日に受診する
交通事故で怪我をしたときは、なるべく早く病院を受診するようにしてください。
基本的には事故当日の受診が望ましいですが、当日の受診が難しいときは翌日までには受診をするようにしましょう。
事故による怪我が軽症だと病院に行かずに過ごしてしまう方もいますが、後から症状が出てくることもありますので、軽症であっても必ず病院を受診してください。 -
(2)事故後受診が遅くなることで生じるデメリット
事故後に病院への受診が遅くなると、以下のようなデメリットが生じる可能性がありますので注意が必要です。事故当日から日にちが遅くなればなるほどデメリットが大きくなりますので、迅速な受診を心がけるようにしましょう。
① 症状の悪化や慢性化を招くリスク
事故当日は痛みや異常を感じなかったとしても、後から重篤な症状が出てくることがあります。
適切な処置が送れると症状の悪化や慢性化を招き、後遺症が生じるリスクが高くなります。
特に、頭部外傷や内出血などは時間がたってから症状が出ることが多く、命に関わるケースもあるため注意が必要です。
② 事故との因果関係が否定されるリスク
事故後すぐに病院を受診しなかった場合、怪我が事故により生じたものと認められない可能性があります。
受診が遅れて事故との因果関係が否定されてしまうと、治療費や休業損害、慰謝料などの賠償金が減額または支給されないリスクが生じます。
③ 適正な後遺障害等級が認定されないリスク
事故による怪我が完治せずに何らかの症状が残ってしまったときは、後遺障害等級申請の手続きを行うことで、症状に応じた後遺障害等級認定を受けることができます。
しかし、事故後病院への受診が遅れると、後遺障害が生じたとしても事故との因果関係が否定されてしまう可能性があります。後遺障害が認定されるかどうかによって、被害者に支払われる賠償金の額が大きく変わりますので、病院への受診は早めに行うことが重要です。
2、事故被害者は病院にいつまで通える?
事故後の病院への通院は、事故の当日または翌日に行うとして、いつまで病院に通うことができるのでしょうか。
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(1)完治または症状固定と診断されるまで通院する
事故による怪我の治療は、医師から完治または症状固定と診断されるまで行うことができます。
完治とは、治療により怪我が完全に回復し、事故前の状態に戻ることをいいます。
症状固定とは、治療を継続してもこれ以上症状の改善が見込めない状態をいい、通常は何らかの症状が残っている状態となります。
交通事故で怪我をしたときは、医師の指示に従って完治または症状固定と診断されるまで継続的に病院への通院を続けるようにしてください。
自己判断で治療をやめてしまったり、途中で中断期間が生じたりするとその後の治療に関しては事故との因果関係を否定されてしまい、慰謝料や後遺障害認定に影響が生じますので注意しましょう。 -
(2)保険会社の補償を受けられる期間
交通事故により病院を受診する際には、治療費の支払いが必要になります。
通常は加害者側の保険会社が直接病院に支払いをしてくれますので、被害者は治療費の負担なく病院への通院を継続することができます。これを「一括対応」と呼びます。
保険会社から治療費の支払いを受けられるのは、基本的には怪我が完治または症状固定になるまでの期間です。
症状固定後も痛みやしびれなどの症状が残っている場合には、治療を続けることは可能ですが、保険会社からの補償は受けられませんので、被害者が治療費を負担しなければなりません。
お問い合わせください。
3、「症状固定」や「治療費打ち切り」と言われたらどうする?
治療を続けていると「症状固定」や「治療費打ち切り」と言われることがあります。このようなときはどのように対応したらよいのでしょうか。
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(1)医師から「症状固定」と言われたときの対応
治療を続けていると医師から「症状固定」と言われることがあります。これは、治療を継続しても症状の改善が見込めない状態ですので、基本的には事故との因果関係のある治療は症状固定と判断された時点で終了となります。
治療の終了時期は医師が判断しますので、医師が症状固定と判断した以上、それに従わなければなりません。
症状固定後も何らかの症状が残っているときは、後遺障害等級申請の手続きを行います。後遺障害等級申請の手続きには、保険会社がすべての手続きを行う「事前認定」と被害者がすべての手続きを行う「被害者請求」の2種類がありますが、適正な後遺障害等級認定を受けるなら、提出する書類を被害者側で取捨選択できる被害者請求で行うべきです。 -
(2)保険会社から「治療費打ち切り」と言われたときの対応
治療を続けていると保険会社から「そろそろ治療費の支払いを打ち切ります」と言われることがあります。これは、保険会社が病院に支払っている治療費の支払いをやめることを意味します。
しかし、治療の終了時期を判断するのはあくまでも被害者の治療を担当している主治医ですので、保険会社から治療費の打ち切りを打診されたときは、主治医に治療の終了時期を確認するようにしてください。
主治医が治療の継続が必要であると判断しているならその旨を保険会社に伝えて、治療費の支払いを継続するよう求めていきましょう。
それでも保険会社が治療費の支払いを打ち切るようであれば、被害者が健康保険を利用して自費で治療を継続し、後日立て替えた治療費も含めて示談交渉するとよいでしょう。
4、適切な治療期間を確保するためにも弁護士に相談を
交通事故により怪我をしたときは、病院での治療が必要になります。適切な治療期間を確保できるかどうかによって賠償金の金額にも影響が生じますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)初期からどのように動くべきかのアドバイスができる
交通事故で怪我をしたときは、いつまでに病院に行くのかによって治療の成果や賠償金に大きな影響が生じます。
治療開始のタイミングが遅れると重篤な後遺症が生じてしまったり、事故との因果関係が否定されて治療費や慰謝料の支払いが受けられなくなったりするため、事故後の初動が重要となります。
弁護士に相談をすれば初期からどのように動くべきかのアドバイスが受けられますので、上記のようなリスクを回避することができます。誤った判断をしないためにも、事故後わからないことがあればすぐに弁護士に相談した方がよいでしょう。 -
(2)保険会社との対応や交渉を任せられる
病院での治療を一定期間続けていると保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあります。また、治療が終了後は保険会社との間で示談交渉を行わなければなりません。
被害者自身で保険会社との対応をするのが負担に感じるときは、弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士に依頼すれば面倒な保険会社との対応をすべて任せることができるので、治療費の打ち切りや示談交渉に関しても適切に対応することが可能です。また、有利な条件で示談が成立する可能性も高くなりますので、保険会社との対応は弁護士に任せるべきでしょう。 -
(3)後遺障害等級認定のサポートできる
交通事故の怪我が完治せずに何らかの症状が残ってしまったときは、後遺障害等級認定の手続きを行う必要があります。
後遺障害等級認定の手続きにより認定された後遺障害等級によって後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益の金額が左右されますので、少しでも多くの賠償金を獲得したいなら適正な後遺障害等級認定を受けることが重要です。
弁護士は、後遺障害診断書のチェックや被害者請求の手続きの代行など後遺障害等級認定のサポートも行います。個人で対応するより、有利な等級認定を受けられる可能性が高くなります。 -
(4)後遺障害等級が付いたときの慰謝料額を増額できる
後遺障害等級認定を受けることができれば後遺障害慰謝料を請求することができます。
後遺障害慰謝料の算定基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所基準(弁護士基準)があり、どの算定基準を用いるかによって慰謝料の金額が大きく変わってきます。
弁護士に依頼すれば、もっとも高額な慰謝料が支払われる裁判所基準を用いて示談交渉を行うことができます。
5、まとめ
交通事故で怪我をしたときは、病院での治療が必要になりますが、いつまでに病院を受診するのか、いつまで病院での治療を続けるのかなどの疑問を抱く方も多いと思います。
治療開始時期や治療期間によって今後の賠償金の金額が大きく変動しますので、少しでも多くの賠償金を獲得したいなら早めに弁護士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。
交通事故の被害に遭ったときは、ベリーベスト法律事務所 山口オフィスまでお気軽にご相談ください。
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