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養子縁組によって元の親の遺産相続はどうなる? 養子の相続権とは

2024年09月12日
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養子縁組によって元の親の遺産相続はどうなる? 養子の相続権とは

山口県の2023年(2022年10月~2023年9月)の人口動態推移によると、死亡者数は2万1416件でした。 親が亡くなると相続が開始され、相続人すべてが遺産を受け継ぐ権利を持ちます。

そこで、相続人を調査したところ、養子に行った兄弟姉妹がいることが判明することがあります。このような場合、養子に行った人にも財産を受け継ぐ権利はあるのでしょうか。

本コラムでは、養子縁組の種類や、養子縁組後の相続権の有無や相続割合などについて、ベリーベスト法律事務所 山口オフィスの弁護士がわかりやすく解説していきます。


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1、養子縁組の種類

そもそも養子縁組とはどのような制度なのでしょうか。ここでは、養子縁組の種類やそれぞれの制度の具体的な内容について解説していきます。

  1. (1)養子縁組とは?

    養子縁組とは、法律上の親子関係を形成する制度です。民法に規定された要件や手続きを満たすことで養子縁組することができます。

    養子縁組によって法律上の親になる側を「養親(ようしん)」といい、法律上の子になる側を「養子(ようし)」といいます。

    養子縁組の効果として、「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する」と規定されています(民法第809条)。

    つまり、養子縁組によって、「養子と養親及びその血族との間においては…血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる」ことになり(同法第727条)、養親、養子は互いに扶養義務が発生することになります(同法第877条)。そして、養子は養親の推定相続人となります(同法第887条参照)。

    養子縁組と相続権を考える場合、誰と誰との間に法律上の親子関係が存在しているのか、という点を正確に理解することがポイントとなります。

    養子縁組には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があります。

  2. (2)普通養子縁組とは?

    「普通養子縁組」とは、養子について、実親との法律上の親子関係を維持したまま、養親との間で新たに法律上の親子関係を生じさせることです。

    普通養子縁組をするためには、主な要件を満たす必要があります。

    • 養親が20歳に達していること(民法第792条)
    • 養子縁組をするには、養親本人と養子本人の同意が必要。養子が15歳未満の場合には、法定代理人の承諾が必要(同法第797条第1項)
    • 養親に配偶者がいる場合は、原則として配偶者の同意が必要(同法第796条前段)


    養子縁組の手続きとしては、養子縁組届出書を養親または養子の本籍地または住所地の市区町村役場に提出する必要があります(民法第799条・第739条)。

    また、養子縁組届には、当事者双方と成年の証人2人以上が署名・押印する必要があります。

  3. (3)特別養子縁組とは?

    特別養子縁組とは、子どもの福祉の増進を図るために、養子とその実親との親子関係を解消し、養子と養親との間に、新たな法律上の親子関係を成立させる制度のことです。特別養子縁組は、子どもの利益のために特に必要がある場合に限り、家庭裁判所の手続により成立します。

    特別養子縁組をするためには、以下のような要件を満たす必要があります。

    • 養親となる者は配偶者がある者で、原則として夫婦共同で養子縁組をする必要がある(民法第817条の3)
    • 養親となるためには、少なくとも配偶者の一方が、25歳以上(もう一方は20歳以上)の必要がある(同法第817条の4)
    • 養子となる者は原則として15歳未満である必要がある(同法第817条の5前段)
    • 原則として養子の実父母の同意の必要があるが、実父母がその意思を表示することができない場合又は実父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、同意は不要(同法第817条の6)
    • 6か月以上の期間の監護(同法817条の8)


    前述のとおり、特別養子縁組が成立した場合には、養子と実の父母、またその血族との親族関係は終了することになります。特別養子縁組については、このような強力な効果があることから、家庭裁判所が、「父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適応であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるとき」(民法第817条の7)に成立します。

    特別養子縁組の手続きは、養親となる者の管轄の家庭裁判所に、
    ・特別養子適格の確認の申立て
    ・特別養子縁組の成立の申立て
    を行います。

    養親となる者が、特別養子適格の確認の申立てをする場合は、特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければなりません。

2、養子縁組後の相続権|養子は元の親の遺産を相続できる?

養子縁組が行われた場合、「普通養子縁組」をした子どもには、「実の親」と「養親」両方の財産の相続権があります。養子縁組と相続権の関係について解説していきます。

  1. (1)相続人の考え方

    親族が亡くなった場合に相続人になれる人のことを法定相続人といいます。法定相続人の範囲や相続できる相続分の割合は法律で規定されています。

    法定相続人の種類としては、「配偶相続人」と「血族相続人」に分けられます

    • 配偶相続人:被相続人(亡くなられた方)と婚姻関係にあった配偶者です。
    • 血族相続人:「直系卑属(子)」、「直系尊属(両親や祖父母)」、「兄弟姉妹」をいいます。


    血族相続人の優先順位は、第1順位が直系卑属、第2順位が直系尊属、第3順位が兄弟姉妹となっています。

    配偶相続人は、常に相続人となり、次の血族相続人がいる場合には、その相続人と同順位で相続します(民法第890条)。前の順位の相続人が存命の場合は、次の相続人に相続の権利はありません。

  2. (2)普通養子縁組の場合

    普通養子縁組の場合、養子は実親と養親の両方の相続権を有します

    養子縁組は、手続き以降も実の父母と法律上の親子関係が存続します。そのため、実の父または母が亡くなった際には、「被相続人の子」として第1順位の相続人に該当することになります。

    また、普通養子縁組を行うと、「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する」ため(民法第809条)、養親の相続人にもなります。

    「嫡出子」とは、婚姻中の夫婦の間に生まれた子供のことを指し、養子縁組によって夫婦の間に生まれた子どもと同じ法的地位を有することになるのです。

  3. (3)特別養子縁組の場合

    特別養子縁組の場合には、養子には養親の法定相続人となるのみです

    「養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する」ため(民法第817条の9第1項)、養子縁組後は実親の相続権はなくなります。

    そのため、特別養子縁組をした養子は、実の両親が亡くなった場合には相続権を有さず、養親がなくなった場合のみ相続権が発生することになります。

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3、養子縁組した養子がいる場合の相続割合

養子縁組をした養子がいる場合、相続割合はどうなるのでしょうか。ここでは、相続割合の基本的な考え方から順に解説していきます。

  1. (1)実親が亡くなった場合

    被相続人に実子と養子の両方がいる場合、実子および養子は、どちらも第1順位の相続人になります。実子と養子で法定相続分には差はありません

    たとえば、被相続人である実父がなくなり、被相続人の配偶者である実母、実子としてAとBの2人がいたとして、子のうちAが養子縁組によって第三者の養子にいっていたとします。

    このような場合、法定相続人と相続割合は以下のようになります。

    • 被相続人の妻(実母):2分の1
    • 実子A:4分の1
    • 実子B:4分の1


    また、上記のケースで実子Aが特別養子縁組によって第三者の養子となっていた場合、Aは相続人にはなりません。この場合の相続人と法定相続割合は以下のようになります。

    • 被相続人の妻:2分の1
    • 実子B:2分の1
  2. (2)養親が亡くなった場合

    被相続人が養親の場合にも、基本的には上記と同様に考えることになります

    たとえば、養親である養父が亡くなり、養父の妻である養母と、縁組をして養子となったA、養親の間に生まれた実子Bがいたとします。このケースで相続人と法定相続分は以下のようになります。

    • 被相続人の妻:2分の1
    • 養子A:4分の1
    • 実子B:4分の1

4、相続人に養子がいる場合の遺産相続の注意点

相続人に養子がいる場合の相続には、トラブルに発展する要素があります。ここでは、養子がいる場合の遺産相続の注意点について解説していきます。

  1. (1)相続人同士でもめる可能性がある

    普通養子となった方が兄弟姉妹にいる場合、その方も相続人になる可能性があります。前述のとおり養子と実子はいずれも被相続人の子であることは変わりないため、財産を相続する権利があります。

    しかし、これまで交流がなかった者が相続人であることが発覚した場合、同じ取り分に納得できないということも、心理的に十分ありえるでしょう

    遺産分割時に相続人同士でトラブルに発展した場合には、弁護士を介して話し合いをしたり、遺産分割調停などの裁判手続きを活用したりして解決を目指すことになるでしょう。

  2. (2)遺産分割協議は相続人全員の参加が必要

    遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。

    養子に行った人が相続人の1人となっている場合、その人を無視して遺産分割協議を行ったとしても、原則として遺産分割は無効となります
    必ず、相続人全員が参加した状態で分割協議を行う必要があります。相続人同士が遠方にいる場合や、話し合いがしづらいという場合には、弁護士に相談して対応を依頼することをおすすめします。

5、まとめ

以上この記事では、養子縁組の種類や、養子にいった人がいる場合の相続権について解説してきました。一般的に利用されている普通養子縁組で養子となった人は、実親と養親いずれの相続人にもなります。

遺産分割協議は全員で行う必要があるため、相続人である養子を欠いたまま行うと、複雑な紛争に発展するリスクがあります。

養子縁組が絡む相続について悩んでいる方や相続トラブルを未然に回避したいという方は、相続の実績がある弁護士にご相談ください

ベリーベスト法律事務所 山口オフィスには、相続事件の解決実績がある弁護士が在籍しております。まずはお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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