合意分割とは? 3号分割との違いや手続き方法、必要書類を解説

2026年02月26日
  • 財産分与
  • 合意分割
合意分割とは? 3号分割との違いや手続き方法、必要書類を解説

山口県の公表している保険統計年報によると、令和5年の山口県における離婚件数は1873件ありました。

離婚時に保険料の納付実績が多い方から少ない方へ年金を分割する「年金分割制度」には「合意分割」と「3号分割」の2種類の手続きがあります。

本記事では、「合意分割」の内容から手続きの流れについて、3号分割との違いも合わせてベリーベスト法律事務所 山口オフィスの弁護士が解説していきます。


離婚・男女問題を弁護士に相談 離婚・男女問題を弁護士に相談

1、合意分割とは?

「合意分割」は年金分割制度の1つです。年金分割制度は「合意分割」と「3号分割」の2種類あります(詳しくは次章で解説)。

「合意分割」は、離婚した当事者間の合意、合意がまとまらない場合には家庭裁判所の調停や審判によって按分割合を定めて年金分割する方法です

合意分割の対象は「婚姻期間中の厚生年金(と共済年金)のみ」で、婚姻期間前や離婚後の厚生年金、国民年金は分割対象ではありません。

2、合意分割と3号分割について

合意分割と3号分割にはどのような違いがあるのでしょう?

それぞれの内容と、適用されるケースを解説していきます。

  1. (1)合意分割と3号分割の違い

    先ほど解説したように、合意分割は夫婦で年金分割割合について合意した内容で年金を分割する方法です。按分割合は、分割を受ける側の持分が50%を上限として定められます。裁判所が定める場合、特段の事情がなければ2分の1とされるのが一般的です

    一方、「3号分割」は国民年金第3号被保険者の請求で年金分割する方法で、分割割合は法律で「2分の1ずつ」と決まっています。

    合意分割と3号分割の違いは分割割合だけではありません。

    ① 合意の必要性と② 対象期間、③ 手続きの違いについて詳しく解説します。

    ① 合意の必要性
    合意分割では夫婦の合意か裁判所の決定が必要不可欠であることに対して、3号分割は合意が必要ではありません
    3号分割では、夫婦の合意や裁判所の決定がなくても国民年金第3号被保険者から年金分割請求が可能です。

    ② 対象期間
    合意分割の分割対象期間は「婚姻期間全体」である一方、3号分割の分割対象期間は「平成20年4月以降で第3号被保険者だった期間」になります。3号分割の場合、平成20年4月1日から制度が開始したため、それより前の期間は分割の対象にはならないのです。

    ③ 手続き
    合意分割・3号分割どちらも、原則として離婚をした日の翌日から2年以内に「年金事務所」または「年金相談センター」に対し「標準報酬改定請求書」の提出する必要があります。夫婦で年金分割に合意をしていたとしても、手続きをしなければ年金分割はできません。
    合意分割の場合、夫婦双方またはその一方が年金事務所で手続きをする必要がありますが、3号分割の場合は第3号被保険者だけで手続きをすることができます。
  2. (2)合意分割と3号分割|ケース別

    合意分割と3号分割は、婚姻期間や被保険者区分に応じて適用される制度が異なります。

    2つのケース別にみていきましょう。

    ① 専業主婦(第3号被保険者)
    平成20年4月1日以降に婚姻し、専業主婦や扶養内で働くパートタイマーだった場合、「3号分割」が適用されます。3号分割では、厚生年金保険法78条の14第2項により、分割割合は2分の1と定められており、当事者間の合意によって割合を変更することはできないと考えられています。

    一方、平成20年3月31日以前に婚姻していた場合、その期間については3号分割の対象外となるため、年金分割を行うには「合意分割」を利用する必要があります。

    ② 共働き
    共働きで厚生年金に加入していた期間は、3号分割の対象にはなりません。3号分割は、配偶者の扶養に入っていた国民年金の第3号被保険者であった期間のみを対象とする制度です。共働きでご自身も厚生年金に加入していた期間については、合意分割の対象となります。

    したがって、夫婦が共働きで、配偶者が厚生年金の被保険者(第1号被保険者または第2号被保険者)であった婚姻期間については、3号分割ではなく「合意分割」が行われるのが原則です。

    婚姻期間中に「共働きで厚生年金に加入していた期間」と「専業主婦(主夫)などで第3号被保険者だった期間」が混在している場合は、それぞれの期間に応じた制度が適用されます。

    • 第3号被保険者だった期間:3号分割(平成20年4月1日以降の期間に限る)
    • 厚生年金の被保険者だった期間:合意分割


    なお、合意分割の請求が行われた際に、その婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれているときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされ、一括して手続きが行われます。

まずはお気軽に
お問い合わせください。
電話でのお問い合わせ
【通話無料】平日9:30~21:00/土日祝9:30~18:00
メールでのお問い合わせ
営業時間外はメールでお問い合わせください。

3、合意分割の手続き方法と注意点

合意分割の手続きの流れと注意が必要なポイントを解説していきます。

  1. (1)合意分割の手続き方法

    合意分割の流れは以下のとおりです。

    • ① 情報通知書の請求
    • ② 夫婦間話し合い(按分割合の決定)
    • ③ 離婚成立
    • ④ 標準報酬の改定請求


    ① 情報通知書の請求
    按分割合を定めるにあたっては、その上限(0.5)と下限の範囲を正確に把握する必要があります。この情報は「年金分割のための情報通知書」によって提供されるため、この書類を入手することが求められます。

    この通知書には、分割対象期間やその期間の当事者それぞれの標準報酬月額・標準賞与額、按分割合を定められる範囲などが記載されています。

    特に、裁判手続き(調停、審判、訴訟の附帯処分)を申し立てる際には、この情報通知書の提出が必須となります。

    そのため、まずは年金事務所に「情報通知書の請求」を行いましょう

    ② 夫婦間話し合い(按分割合の決定)
    情報通知書によって対象期間などの情報が把握できたら、次に行うのは夫婦間における按分割合についての話し合いです

    話し合いで決まらない場合、家庭裁判所に調停または審判の申し立てを行って按分割合を決める流れになります。

    ③ 離婚成立
    按分割合が決まったら年金事務所へ手続きに、といきたいところですが、年金分割手続きは「離婚成立後」でなければ請求できません。

    そのため、按分割合が決まったら年金事務所へ行く前に離婚を成立させる必要があります

    ④ 標準報酬の改定請求
    離婚が成立したら、年金事務所に行って「標準報酬の改定請求」を行いましょう

    年金事務所に「標準報酬改定請求書」と必要書類(詳しくは4章で)を提出し、改定されれば改定後の標準報酬がそれぞれに対して日本年金機構から通知されます。

    なお、年金分割の請求(標準報酬改定請求)は、原則として離婚をした日の翌日から2年以内に行う必要があります。この期間を過ぎると請求できなくなるため注意が必要です。

  2. (2)合意分割の注意点

    合意分割の注意点についてみていきましょう。

    ① 情報提供請求から情報提供まで2~3週間かかる
    情報提供請求をすればすぐに情報提供がされるというわけではありません。通常2~3週間かかることを念頭にいれて請求しましょう

    ② 年金事務所は事前予約が必要
    年金事務所は事前に予約をする必要があります。予約は「予約受付専用電話」でする必要があり、インターネット予約はできません。

    ③ 混みすぎていて予約が取れない場合もある
    予約が取れるのは基本的に相談の1か月前からです。しかし、混みすぎていて2か月先まで案内されることもあるため、1か月前に予約の電話をしても取れない場合があることを留意しておきましょう。

    ④ 情報提供請求は必ず行う必要があるというわけではない
    情報提供請求は必ず行わないといけない手続きというわけではありません。そのため合意分割で按分割合が決まっている場合、情報提供請求をせずに年金分割の合意書を提出して年金分割請求を完了させることも可能です
    ただし、計算書がないため、いくら増えていくら減るかはわかりません
    また、年金事務所の担当者が「情報提供請求は必ずしも行う必要はない」ということを知らない場合もあり、手続きを進められない可能性もあるので注意が必要です。

4、合意分割の手続きを進めるうえでの必要書類

合意分割の手続きを進めるための必要書類リストをご紹介します。

  1. (1)合意分割手続きの必要書類リスト

    合意分割手続きの必要書類リストは以下のとおりです。

    • 基礎年金番号またはマイナンバーを明らかにできる書類(基礎年金番号通知書またはマイナンバーカードなど)
    • 婚姻期間を明らかにできる書類(それぞれの戸籍謄本または戸籍抄本など)
    • 請求日前1か月以内に交付された2人の生存を確認できる書類(それぞれの戸籍謄本または戸籍抄本または住民票)
    • 年金分割の割合を明らかにできる書類

    「話し合い」で決めた場合は下記いずれかから1つ
    • 公正証書の謄本または抄録謄本
    • 公証人の認証を受けた私署証書
    • 年金分割することおよび按分割合について合意している旨を記入し署名した書類

    「裁判」で決まった場合は下記いずれかから1つ
    • 審判(判決)書の謄本または抄本および確定証明書
    • 調停(和解)調書の謄本または抄本
  2. (2)合意分割手続きの注意点

    合意分割をする際に年金事務所に持参する「婚姻期間がわかる戸籍謄本(妻が除籍した場合は元夫のもの)」と、「住民票(戸籍記載、妻が除籍した場合は妻のもの)」は、生存確認が目的のため「1か月以内のもの」が必要です。したがって、年金事務所の予約が取れてから相談日の1か月以内で取得しなくてはいけません。

まずはお気軽に
お問い合わせください。
電話でのお問い合わせ
【通話無料】平日9:30~21:00/土日祝9:30~18:00
メールでのお問い合わせ
営業時間外はメールでお問い合わせください。

5、合意分割について弁護士に相談するメリット

合意内容や裁判所判断にもよりますが、合意割合の分割割合は最大50%までであり、改定請求は「離婚成立翌日から2年以内」という期限が設けられています。

また少し触れたように、話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所で調停を申し立てることが可能です。ただ裁判上の手続きになると複雑な手続きや費用の発生、何より精神的負担もかかります。

そこでおすすめしたいのが「弁護士への相談」です。

合意が難しいケースでは弁護士に相談することでスムーズに解決できる可能性があります。また、年金だけでなく財産分与や慰謝料、子どもがいる場合は親権や養育費など他の離婚条件とあわせて相談できるのも弁護士に相談する大きなメリットといえるでしょう。

その他にも、調停や審判、訴訟に発展した場合の手続き・対応の一任、ケースに応じた的確なアドバイスも期待できます。

自分に不利な条件に同意してしまう前に、早めに弁護士へ相談しましょう

その際にはぜひ、ベリーベスト法律事務所 山口オフィスの弁護士にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています