DV冤罪とは? でっちあげを証明する方法と相談先を解説
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内閣府の「配偶者暴力相談支援センターへの相談件数の推移(年次)」によると、令和5年度における配偶者暴力支援センターへのDVに関する相談件数は12万6743件でした。
DVに関する相談は年々増加傾向にあり、深刻な社会問題とされています。一方で、この状況とは別に、実際には暴力がないにもかかわらず「DVがあった」と主張される冤罪が問題となるケースもあります。
本コラムでは、DV冤罪とはなにか、また疑いをかけられた際にどのように対応すべきかについて、ベリーベスト法律事務所 山口オフィスの弁護士が解説します。
1、DV冤罪とは?
DV冤罪とは、具体的にどのような状況を指す言葉なのでしょうか?
以下では、DV冤罪の基本的な定義と、実際に行われるケースの傾向について解説します。
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(1)DV冤罪とはどのようなものなのか?
DVは、ドメスティック・バイオレンスを省略した言葉で、配偶者や恋人など親密な関係にある人物からの暴力を指します。DV冤罪とは、実際にはDV行為をしていないにもかかわらず、「DVを受けた」と虚偽の被害申告をされることです。
DV冤罪の主張がされる背景には、「離婚を有利に進めたい」「慰謝料を請求したい」といった意図がある場合も考えられます。離婚手続きを進める際、片方の配偶者がDVをしていた事実があると、親権や慰謝料の判断に有利な影響があるためです。
DVをでっちあげられると、結果として不当な慰謝料や面会制限が命じられるおそれもあるため、慎重に対応する必要があります。 -
(2)DV冤罪が行われるケース
DV冤罪が行われる背景には、主に以下のような動機や状況があります。
【DV冤罪が行われる背景】
- 離婚時に親権や慰謝料で優位に立ちたい
- 子どもとの面会交流を拒否したい
- 感情的対立から相手をおとしめたい
- 自分の浮気・不貞行為を正当化したい
たとえば、別の原因によるケガを「配偶者から殴られた」と嘘をつくケースなどがあります。病院で医師にDV被害を訴えた結果、実際の原因と異なる内容の診断書が証拠として用いられる場合もあるため注意が必要です。
また、ささいな口論や誤解について、「モラハラ」や「精神的DV」と受け止めるかどうか大きく食い違う可能性もあるでしょう。
2、DVが冤罪だと証明するには?
DVが冤罪であると主張するためには、感情的に反論するのではなく、論理的・証拠的に覆す姿勢が重要です。DV冤罪に対抗する方法として、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
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(1)冷静に対応する
まず重要なのは、感情的にならず、冷静に否定することです。
突然「DVを受けた」と主張された場合、驚きや怒り・不安が一気に押し寄せるかもしれません。しかし、その場で感情を爆発させてしまうと、逆に「暴力的」という相手の主張を補強する材料になってしまいます。
また、怒りにまかせて連絡を繰り返したり、無理やり会いに行こうとしたりする行為も避けましょう。これらの行為は、裁判所による電話等禁止命令や接近禁止命令などの「保護命令」の根拠にされるリスクがあります。
DVの事実を証明する責任は、原則としてDV被害を主張する側にあります。しかし現実には、十分な証拠がない段階でも、DVを疑われた側が一方的に不利な立場に置かれてしまうことがあります。
そのため、DV冤罪をかけられた場合には、「自分が証明しなければならないわけではない」ことを理解したうえで、事実関係を整理し、適切な反論や対応を検討することが重要です。 -
(2)相手の主張の矛盾点を探す
相手の主張をよく聞き、矛盾点を探すことも重要です。たとえば、以下のようなポイントに注目すると矛盾点が見えてくる場合があります。
- DVを受けたと主張された日時に自分のアリバイがある
- 暴力を受けたときの具体的な状況説明や証拠がない
- 過去の主張と現在の主張に食い違いがある
- 離婚届を用意したタイミングで急にDV被害を主張された
これらのポイントに着目して矛盾点を探し出し、適切に反論することで冤罪を晴らせる可能性があります。相手の発言に矛盾を見つけるためにも、できるだけ多くの記録や証言を集めておきましょう。
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(3)冤罪である証拠を提示する
「DVがなかったこと」や「相手の主張が虚偽であること」を裏付ける証拠を提示できれば、DVが冤罪であることを証明できます。証拠として有効なものの一例は、以下のとおりです。
- LINEやメールの履歴
- 会話を録音したデータ
- 防犯カメラの映像
- 友人や家族・同僚の証言
- GPSの位置情報記録
- 日記やSNSの投稿
事実と異なると判断された被害申告には、不自然な点や矛盾点が見つかるケースも多いです。判断が難しい場合には、弁護士に相談しながら証拠を集めていくことをおすすめします。
お問い合わせください。
3、DVが冤罪だった場合でも離婚は成立する?
DVが冤罪であったとしても、離婚が成立する可能性はあります。しかし、そのためには裁判所に「婚姻関係の破綻」を認められる必要があり、一方的な主張だけで成立するわけではありません。
以下では、DV冤罪で離婚が成立しないケースと成立する可能性があるケースについて解説します。
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(1)協議離婚や離婚調停では離婚は成立しない
協議離婚や離婚調停は、あくまで「当事者同士の話し合い」で進める離婚手続きです。そのため、当事者双方が同意しなければ離婚は成立しません。
一方が「DVを理由に離婚したい」と主張していても、もう一方が応じなければ、協議離婚も調停離婚も成立しないことになります。
調停では裁判所が間に入って話し合いを促しますが、裁判の判決のように強制力があるわけではありません。相手の主張が虚偽である場合はきちんと否定し、冷静に状況を説明することで、不利な条件での離婚を防げます。 -
(2)離婚裁判ではDV冤罪でも離婚が成立する可能性がある
離婚裁判では、DVが冤罪であっても離婚が成立してしまう可能性があります。
離婚裁判で主な争点となるのは、「法定離婚事由」の有無です。法定離婚事由とは、民法で定められた離婚が認められる法律上の理由を指します。
DV行為は、法定離婚事由のうち「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当します。しかし、DVの事実を立証できず冤罪であると判断されれば、離婚は認められません。
ただし注意点として、DVが虚偽だったとしても、ほかの法定離婚事由に該当している場合は離婚が認められる可能性があります。たとえば、すでに夫婦関係が完全に破綻しており、修復が見込めないと裁判所が判断した場合などです。
裁判では法的な視点から「関係の破綻」が判断されるため、事実関係の立証と同時に、夫婦関係の回復努力や経緯も重要になります。
4、DV冤罪をでっちあげられたら弁護士に相談を
配偶者やパートナーにDVの冤罪をでっちあげられた場合は、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。弁護士に相談することで得られるメリットは、主に以下の4つです。
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(1)冷静に対応することが可能
DV冤罪をかけられた当事者は、怒りや恐怖・不安といった感情に支配されやすくなります。そうした心理状態では、相手の言動に過度に反応してしまい、結果として「DVの証拠」を作ってしまう危険性があります。
弁護士が間に入ることで、感情的なやり取りを避け、第三者として法律にのっとった冷静な対応が可能です。また、裁判所や警察への対応も弁護士がサポートできるため、自分だけで悩みを抱え込まずに済みます。
相手方との交渉に関しても弁護士が代行できるため、精神的なストレスも大幅に軽減できるでしょう。 -
(2)DV冤罪の証拠を収集できる
弁護士に相談する大きなメリットのひとつが、法的に有効な証拠を収集・整理できる点です。
たとえば、LINEの履歴やメール・録音データなどは、自分だけでは証拠になるのか判断できないケースがあります。これらの証拠を弁護士が確認することで、有効かどうかを適切に判断できます。
また、相手の主張と矛盾する事実があるかどうかを精査し、必要に応じて第三者の証言や記録の提出を依頼することも可能です。
法的に正しい方法で証拠を集めるためにも、弁護士の力を借りることは有効な手段といえるでしょう。 -
(3)有利な条件で離婚できる可能性が高くなる
弁護士に相談することで、不当な慰謝料請求や親権争いに対して有利な条件で交渉できる可能性が高まります。
たとえば、相手がDVを理由に高額な慰謝料を請求してきた場合でも、冤罪を立証できれば慰謝料の支払いを回避できます。また、DVが冤罪と認められれば、親権争いや面会交流においても不利な結果を避けられるでしょう。
さらに、相手の虚偽の主張が明らかになれば、名誉毀損や損害賠償請求の可能性も視野に入れられます。身に覚えのないDV被害を申告された場合には、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。 -
(4)警察に被害届を出されても対応が可能
DV冤罪の中には、警察に被害届を出して警察が動くケースも存在しますが、弁護士に相談・依頼していれば、それらにも対応可能です。
お問い合わせください。
5、まとめ
DV冤罪は、実際に暴力がなかったにもかかわらず「DVを受けた」と主張される深刻な問題です。とくに離婚を望んでいない側にとっては、非常に理不尽かつ苦しい状況となりかねません。
冤罪を晴らすには、冷静な対応と証拠収集が求められます。そしてそのためには、離婚弁護士への法律相談が重要です。
弁護士に相談することで、証拠の整理・法的な反論・有利な離婚条件の実現など、あらゆる面でサポートができます。
でっちあげDVの被害者となり悩んでいる方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 山口オフィスの弁護士にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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