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時間外労働の上限規制|残業時間など今すぐ企業が留意すべきポイント

2024年06月25日
  • 労働問題
  • 時間外労働規制
時間外労働の上限規制|残業時間など今すぐ企業が留意すべきポイント

労働基準法では、時間外労働が厳格に規制されています。

時間外労働規制(残業規制)に違反すると、労働基準監督官による臨検や是正勧告、さらに刑事罰の対象になり得るので注意が必要です。弁護士のアドバイスを受けながら、時間外労働規制の順守に努めましょう。

本記事では、労働基準法に基づく時間外労働規制の概要について、ベリーベスト法律事務所 山口オフィスの弁護士が解説します。

1、時間外労働の上限規制

「時間外労働」とは、法定労働時間を超える労働です。

時間外労働については、労働基準法によって厳格な規制が設けられています。時間外労働規制の内容につき、以下の項目に沿って確認しましょう。



  1. (1)法定労働時間|1日8時間以内・1週40時間以内が原則

    法定労働時間とは、労働基準法で定められた原則的な労働時間の上限です。特別のルールが適用される場合を除き、法定労働時間は1日当たり8時間・1週間当たり40時間とされています(労働基準法第32条)。

  2. (2)時間外労働をさせるには「36協定」の締結・遵守が必要

    法定労働時間を超える労働は「時間外労働」と呼ばれています。

    使用者が労働者(従業員)に時間外労働をさせるには、「36協定」という労使協定を締結しなければなりません(労働基準法第36条第1項)。36協定は、使用者と事業場の労働者の過半数で構成される労働組合との間で締結します。事業場の労働者の過半数で構成される労働組合がない場合には、事業場の労働者の過半数を代表する者との間で締結します。

    36協定には、以下の事項を定めなければなりません(労働基準法第36条第2項、労働基準法施行規則第17条)。使用者の労働者に対する時間外労働の指示は、36協定で定められたルールの範囲内に限って認められます。

    • ① 時間外労働・休日労働をさせることができる労働者の範囲
    • ② 時間外労働・休日労働をさせることができる期間(1年間に限る)
    • ③ 時間外労働・休日労働をさせることができる場合
    • ④ 時間外労働の上限時間数、休日労働の上限日数(1日・1か月・1年)
    • ⑤ 36協定の有効期間
    • ⑥ ②の期間の起算日
    • ⑦ 1か月につき時間外労働・休日労働の合計時間数を100時間未満とする旨
    • ⑧ ②の期間の初日から1か月ごとに区分した上で、連続する2か月・3か月・4か月・5か月・6か月の時間外労働・休日労働の合計時間数を、1か月当たり平均80時間以下とする旨
  3. (3)36協定に基づく時間外労働の限度時間|月45時間以内・年360時間以内が原則

    36協定を締結したとしても、無制限に時間外労働を指示できるわけではありません。

    時間外労働の限度時間は、原則として1か月当たり45時間以内、1年間当たり360時間以内とされています(労働基準法第36条第3項、第4項)。
    36協定を締結している場合であっても、時間外労働は限度時間の範囲内に収めなければならないのが原則です。

  4. (4)36協定の特別条項|限度時間を超える時間外労働が可能に

    36協定には「特別条項」を定めることができます。特別条項は、通常予見できない業務量の大幅な増加等に伴い、臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合のルールを定めるものです。

    特別条項としては以下の事項を定めることができ、臨時的必要性が認められる場合に限り、特別条項の順守を上限として限度時間の超過が認められます。

    <特別条項>
    • ⑨ 限度時間を超えて労働させることができる場合
    • ⑩ 限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉確保措置
    • ⑪ 限度時間を超えた労働に係る割増賃金率
    • ⑫ 限度時間を超えて労働させる場合の手続


    ただし、特別条項に基づく時間外労働は、以下の条件をすべて満たす範囲内に収めなければなりません

    • (a)1か月につき時間外労働・休日労働の合計時間数は100時間未満
    • (b)1年につき時間外労働は720時間以内
    • (c)1か月につき時間外労働が45時間を超える月数は、1年につき6か月以内
    • (d)坑内労働など、健康上特に有害な業務についての時間外労働は、1日につき2時間以内
    • (e)対象期間の初日から1か月ごとに区分した上で、連続する2か月・3か月・4か月・5か月・6か月の時間外労働・休日労働の合計時間数が、平均1か月当たり80時間以

  5. (5)時間外労働に対する割増賃金

    時間外労働に対しては、通常の賃金に対して25%以上の割増賃金を支払う必要があります。また、月60時間を超える部分の時間外労働に対しては、通常の賃金に対して50%以上の割増賃金の支払いが必要です(労働基準法第37条第1項)。

  6. (6)時間外労働規制が適用されない労働者

    以下の者については、労働時間に関する規制が適用されません(労働基準法第41条、第41条の2)。

    • 土地の耕作もしくは開墾または植物の栽植、栽培、採取もしくは伐採の事業、その他農林の事業(林業を除く)に従事する者
    • 畜産、養蚕または水産の事業に従事する者
    • 監督もしくは管理の地位にある者(=管理監督者)
    • 機密の事務を取り扱う者
    • 監視または断続的労働に従事する者で、使用者が労働基準監督署長の許可を受けたもの
    • 高度プロフェッショナル制度が適用される者


    したがってこれらの者には、法定労働時間および時間外労働の上限は適用されず、残業代(時間外手当)も発生しません

2、労働者が同意しても、時間外労働規制は無視できない

労働者が同意したとしても、時間外労働規制は免除されません。労働基準法は労働条件の最低ラインを定めるものであり、強行法規と解されているためです。

したがって、労働者の同意の有無にかかわらず、時間外労働は労働基準法および36協定のルールの範囲内に収めなければなりません。

3、時間外労働規制に違反した場合のペナルティー

時間外労働規制に違反した事業者は、以下のペナルティーを受けるおそれがあります。



  1. (1)労働基準監督官による臨検・是正勧告

    労働基準監督署が労働基準法違反の疑いを持った場合、事業場に労働基準監督官を派遣して臨検(立ち入り調査)を行います。臨検では、帳簿・書類等の確認や、使用者・労働者に対する尋問などが行われます(労働基準法第101条第1項)。

    臨検の結果、労働基準法に違反する時間外労働が判明した場合には、労働基準監督官が事業場に対して是正勧告を行います。

    是正勧告を受けた場合、指定された期限までに違反を是正して、労働基準監督署に報告しなければなりません。また、違反の事実が企業名とともに公表されることがあります

  2. (2)刑事罰

    さらに、時間外労働規制に違反した者は刑事罰の対象となります。

    法定刑は「6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金」(同法第119条第1号)で、法人に対しても両罰規定により「30万円以下の罰金」が科されます(同法第121条)。

4、時間外労働規制への対応は顧問弁護士に相談を

時間外労働規制を順守せず、不適切な勤怠管理(残業管理)を行っていると、労働者との間でトラブルになるおそれがあります。さらに、労働基準監督官の是正勧告や刑事罰の対象にもなり得るので要注意です。

時間外労働規制については、近年たびたび法改正が行われています。最新の法令に沿った勤怠管理を適切に行うためには、顧問弁護士と契約してアドバイスを受けるのが安心です。

顧問弁護士と契約すれば、労働基準法その他の法令への対応について、いつでも疑問点を質問できます。また、法令に沿った社内規程の作成や届出等の手続きについても顧問弁護士のサポートを受ければ漏れなく対応できるでしょう。

時間外労働規制への対応にお悩みで、まだ顧問弁護士と契約していない企業は、信頼できる弁護士にご相談ください

5、まとめ

労働基準法では、厳格な時間外労働規制を定めています。

時間外労働は36協定を締結しなければ認められません。また、36協定を締結している場合でも、原則として限度時間を超えることはできません。特別条項を定めれば、例外的に限度時間を超える時間外労働が認められますが、それでも一定の上限を順守する必要があります。さらに、時間外労働に対しては、労働基準法に基づく割増賃金の支払いを要します。

これらの時間外労働規制に対応するためには、弁護士のサポートが欠かせません。顧問弁護士と契約すれば、時間外労働規制への対応についてスムーズにアドバイスを受けられます。

ベリーベスト法律事務所 山口オフィスは、労務管理に関する企業のご相談を随時受け付けております。クライアント企業のニーズに応じてご利用いただける顧問弁護士サービスもご用意しておりますので、時間外労働規制への対応等にお悩みの際は当事務所までご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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